ブックオフ大尽

昨日は毎年恒例、ブックオフの20%オフセールに行ってきた。
時代小説とハードボイルド小説を中心に、50冊ほど買った。
店はコロナ禍ゆえか、例年より繁盛しているようだ。レジスター前には長蛇の列ができていた。
多くの客がせいぜい5〜6冊ほど買って帰っていくなか、カゴに溢れるほどの本をカウンターに載せたので店員がややたじろいだようだった。
レジ袋が有料化されたせいで自前のリュックサックに本を入れなければならず、支払いを済ませた後にカウンターから本を詰めるための荷台へと本の山を移動させようとしたところ、親切な女性定員が一山運んでくれた。6,000円ほどしか買っていないのに、ブックオフではずいぶんなお大尽様のように扱ってくれるものだな。
今年は、本を積むことにも、積ん読本を崩すことにも旧年に倍して努めたいと思う。そして、ハードボイルド風時代小説のプロットを完成させたい。

 

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『仮面ライダーW』の悪の描き方はすごい

今年の楽しみといえば、読書をのぞけば、食後に妻と仮面ライダーを観ることであった。
『オーズ』を観て大いにのめり込み、続けて『W』を観始めた。それももう佳境にきている。
両作とも10年前に一度観ているが、そのときはどちらかというと『オーズ』のほうが好きだった。見直してみると、甲乙つけがたいが『W』のほうが面白いと感じる。
『W』は、悪役が人間臭く生々しいのがいい。園咲家という一族が悪の親玉なのだが、思想そのものが加害的な絶対悪といえるのは父親の竜兵衛だけだ。その手下として街の人々を傷つけている冴子、若菜という姉妹は、父親に巻き込まれ、父親に愛されるために罪を犯している。悪そのものというより、善の不在という風に見える。
世の中に充満している悪い奴というのは、たいていは冴子と若菜のようなものだ。親とか友人とか地元の先輩とか、そういう身近な因果に巻き込まれて善心を手放してしまう不順な悪というわけだ。だが稀に本当に悪い奴というのもいて、これは根本的に思想的に悪い純粋悪なのだ。
「正義の反対はもう一つの正義」と相対化してものを見ようとする人もいる。しかし、いやいや、もうどうしようもなく悪い奴というのも、やはりいるものだと僕は思う。
ありふれた不純な悪と、そのコアにある純粋な悪━━『W』はこの悪の二重構造がとてもよく描けていると思う。

時代小説の書き出しのこと

ずっと違和感があった。
多くの時代小説の文体の話である。
天保○年、冬。」みたいな始まり方をする作品が多すぎる。そんな、歴史年表みたいな書き方で小説が立ち上がるものかね? とずっと疑問だった。
書き出しだけでその小説が面白いかどうか判断できるわけではない。それはもちろんだが、やはり、あっと驚くような、不意打ちのような書き方のほうがずっといいと思う。
天保○年、冬。」式の書き出しというのは、さしずめ「はい、教科書何ページを開いてください」から授業を始める学校の先生のようなものだろう。実にかったるい。

時代小説100人組み手

最近は、『これだけは読んでおきたい時代小説100選』というリストの作品を次々の読んでいく100人組み手のような読書をしている。
100人組み手にはスピードが何より大事だ。相手の袖を掴んだ瞬間から、がっぷり四つに組むのか、適当にかわしてお終いにしてしまうのか、決めねばならない。
最初、佐伯泰英『八州狩り』と山本一力『大川わたり』という2作に手を付ける。100ページくらいよんだところで、なぜだかかったるくなって途中で放り出してしまった。自分でもつくづく堪え性がないと思うが、これでいい。
続いて、北方謙三なら大丈夫だろう、と思い『草莽枯れ行く』を手にとる。果たして、最初の1行からもう、自分が放り出してしまったようなかったるさのない小説だと確信させてくれる何かがある。
この、読み始めた瞬間にそれとわかる、かったるさを感じさせない「何か」とはなんだろうか? 組み手を続けていればそれがわかるだろうか。

ワンピース・座頭市・大菩薩峠

4か月ぶりの更新だ。

年々、筆不精になっている。

 

●8

ワンピースを、1か月くらいかかって最新刊の100巻まで読んでしまった。どうも、ワンピースなんてものは「仲間って最高だ!」というマイルドヤンキー的な価値観が弥漫していて、自分のような捻くれた人間には受け入れられないのではないかという先入主が邪魔をして読んでいなかったのだけど、とても楽しく読めた。

「暴力」の描き方が結構エグい、というより本質的で、それを倒すのは更に強い暴力しかないんだという、ルールのようなものがちゃんとしている。正義が悪を成敗するんじゃなくて、あくまでこれは海賊同士の喧嘩なんだっていうのを努めて守っているのがよかった。それでも、話が大きくなるにつれてどんどんヒーロー然としてしまうのだけど。

 

●9

時代劇をたくさん観た。ワンピースの中に、盲目の剣士藤虎というどう見ても勝新太郎にしか見えないキャラクターが出てきて、それで「座頭市」を観たら止まらなくなってしまった。

「御用金」「幕末太陽伝」「椿三十郎」「大菩薩峠」が特に面白かった。

 

●1011

小説『大菩薩峠』を読み始め、今日に至る。

市川雷蔵主演の映画版「大菩薩峠」の第一部が信じられないほど面白く、すぐに会社の近くのブックオフちくま文庫の全巻セットを買い、読み始めてしまった。

1冊あたり400ページくらいあって、20巻もある。

途方もなく長いので、飽きるまで読んで途中で放り出そうと思っていた。が、明らかに中弛みをしたと思ったら次の章は滅法面白くなったりして、なんだかんだ半分くらい読んでしまってから腹を決めた。

今、17巻目。年内にはなんとかしたい。

 

思うに、何かを観たり読んだりするのに集中している期間というのは、己を虚しゅうしてこれに没頭するのが最高に気持ちいいのである。それでブログを書くのも面倒になったので放っておいた。

だが己を虚しゅうするあまり大菩薩峠を読んでばかりで日を過ごしていると、さすがに書きたいことも出てくるので、また文章にまとめたいと思う。

「ワンピース」を挫折した理由

 ジャンプの電子版が「ワンピース」90巻まで無料公開という太っ腹なキャンペーンをやっている。
 期間を区切って30巻ずつ無料公開していて、先日のブログにも書いた通り僕は4連休を使って1〜30巻までを読んだ。来週の月曜日から31〜60巻が公開される予定なので、今、インターバルをとっているとも、お預けを食らっているともいえるような状態だ。

 もっとも、最初のほうは子供の頃に読んだことがある。「アラバスタ編」の途中まで読んでそれっきりだった。
 挫折した理由もよく覚えている。バロックワークスという悪の秘密組織が出てきて、その構成員としてミスター●●とかミス●●が出てくるのだが、こいつらの名前と風貌を覚えるのが自分には難しいと感じてやめた。
 「ブリーチ」も最初はすごく面白かったのだが、ワンピースと同様に何番隊隊長、副隊長というのがたくさん出てくるらしいということがわかったところで読み進むのを断念してしまった。

 今回も同じように挫折してしまうのではないかという危惧があり、「アラバスタ編」を自分が読み通せるかどうかとても不安だったが、大丈夫だった。
 理由は、加齢にともなって「キャラクターの名前が覚えられない」ということが大して苦痛ではなくなったからだ。固有名詞を忘れることにも、そもそも記憶できないことにももう慣れきってしまっているのだ。もうそれがデフォルトになってしまったのだ。
 だからバロックワークスの連中についても「メガネの、ロウソクを使って戦う奴がいるなあ」とか、「グラサンの爆弾人間がいるなあ」てなもんだ。ボンヤリしている。そいつがミスター3だったのか、4だったのかは今もうすでによく覚えていない。
 しかし、固有名詞がなんだというのだ。そもそも固有名詞というか、数字だ。数字の名前のキャラクターが一度にそんなに登場したって覚えられっこないよ。無理、無理。……そういう居直り方を身につけてしまった。

 自分でも、どうか、と思うが、ともかく老化の副産物としてボンヤリした認識と世界への寛容さを手に入れた僕は20年越しに「アラバスタ編」を読み通すことができた。キャラクターの名前はあまり覚えていないがストーリーはとても面白かった。

 感想らしきものを記録しておこうと思って書き始めたのだがくだらない愚痴のような話になってしまった。後日また書きます。

読書用にIKEAの「ポエング」を買ったら最高だった

本をたくさん読みたいのに、家で1時間以上集中して本を読めないことが多く、とても困っていた。


理由はとっくにわかっている。同じ姿勢を長いこと維持できないのだ。

読んでいるうちに腰や背中やお尻が痛くなってきてしまうので、前傾姿勢になったり、逆にふんぞり返ったり、ベッドにうつ伏せになってみたり、また前傾姿勢になってみたり……というのを繰り返す。そうしているうちに「どういう姿勢で読むのがもっとも楽なのかしら」ということが第一の関心事になってきて、本の中身が頭に入らなくなってしまう。

こういうことがめずらしくなかった。

 

これでは困るのでどうにかしたいと思っていたところへ、ちょうど4連休がくるし、待ちに待った給料も入るということで、思い切って読書用の椅子を買ってみた。
ネットでも定評のあるらしいIKEAの「ポエング」という椅子だ。

 

 

 

これが大当たりだった。

そもそも同じ体勢で座り続けていても疲れづらい。加えて、浅くかけても深くかけてもそれなりに全身を支えてくれ、姿勢を微妙に変化させながら座り続けることができるのも良いようだ。

 

・一般的なPCチェアよりも低め(リビング用
・背もたれの湾曲ぐあいが人体にフィットしている
・座面と背もたれが程良くしなるようになっている

このあたりが読書用に適した椅子の条件ではないかと思う。

 

おかげで、無料期間中の『ONE PIECE』30巻強を3日かけて読んでもあまり身体が凝らなかった。椅子を買っていなかったら、アラバスタ編の途中くらいで嫌になってほっぽってしまったのではないか。

 

これで高々1万円というのはあまりにも安い。コスパ最強ではないだろうか。
無駄にもう1脚買いたくなってしまう。それくらい僕はいま満足している。

 

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